堂々秘密
気付いたのだけれど、私は自分の領域に入ってくるものに対しての警戒感、そのツボがとても浅い。地雷、はまた別にあると思うからそこまでのものじゃないんだけど。純粋な好奇心が向けられたとき、どうして私がそれに見合った“答”を差し出さなければならないのと、一度ぐっと身構える。内容は些細なことだよ。それら全てが個人情報に該当するとも思っていない。でも、プライベートの切り売りにはずっと違和感があって、例え大きな見返りがあったとしても、公じゃなく個人相手だとしても、形のない情報だとしても、いきなり求められると「不躾だな」と思うし、一歩引いてしまう。「まだ“関係”という関係も築いていないのに?」「でも関係を築く始まりとして“知る”ことは必要な気もする...」一瞬で高速回転する迷いの後、ぽろっと話してしまうことが多かった人生だけど、いい加減“ついうっかり”で汚点を残すのはやめて、“内緒”を貫き通したいと考えている。
いくつかのプライベートな質問が、話題作りなのはわかる。その機会に“人間関係の構築”を始めましょうという意思も理解できる。例えば「ご兄弟は?」という質問だって、続いて「自分と同じですねー」とか「私は○○なんですー」とか会話に繋げていくのは、とても基本的なコミュニケーションだと思う。でも、最近の私は、まぁお見合いならまだしも、普通の“出会い”“知り合い”の中でそう気軽に質問されると、一瞬壁が出来てしまう。私の人となりを知るための質問だとわかっていても、なんとなく一歩、後ずさりしてしまう。もちろん、相手が私から引き出した言葉や情報でどうこうしようとしているわけではないことはわかっている。元々人を信じにくいタイプではあるが、それをわざと主張するのも、いじわるというか、相手に失礼かなとも思うし。あと押しに弱いので、結局ぽろぽろ溢すこともあるけど、本心としては、あまり自分を“解体”して“私とは何か”を他人に探られたくない気持ちだ。私のことを私以上に知ってる気になられるのも嫌だ。「あなたが生きる上で私についてのソレ、知る必要ないでしょ?」って思うことは、具に答えたくない。とか言ってると、何でも「さあ?」って言いたくなるのだが...それじゃあ、というか道理で、人付き合いが無くなっていくわけだ。自分で基本なんて言ってるコミュニケーションのひとつを放棄したがってるわけだから。
自分の文章や絵や頭の中をこんだけひけらかしておいて、恥ずかしがってるとしたら自分でも「どういうわけ」って思うよ。でも「自分の手の内を見せて」と言われるのは、恥ずかしいに近い拒否感。「いいじゃん減るもんじゃなし」と言われるようなレベルのことを頑なに明かさないのは滑稽だろうか。変に大胆で求められていないものを公開して、人が食い付いてきたことはあれもこれも秘密。そうしたい理由は不明だけど、そうしたいからそうしてる。